数日前に某高原地域でクロウスタビガとヒメヤママユを堪能したばかりですが、2019秋後半戦のテーマは未採集地点ラベルのクロウスタビ採集と秩父周辺でのヒメヤママユ (黒化型含む) の観察。

そこで、秩父山塊をぐるりと回るようにして東京・山梨・埼玉での街灯巡りを敢行しようと思いついたのでした。
しかし、数日後には最強の台風が関東直撃とのこと。その後となってしまうと山道がどうなるか分かりません。
通行止めになってしまってはどうしようもないので、嵐が来る前に一度強引に出撃しておくことにしました。



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前日までの予報では比較的気温が高く、雲もかかる予定だったので期待していたのですが、いざ日が暮れてみると思ったより寒いし空も晴れ渡っていて月も非常に明るい......。

暖かい我が家の誘惑に出撃そのものを相当悩みましたが、前代未聞の嵐の後ではシーズンを逃すことになりかねない......。
成果は期待せずにポイント把握くらいのつもりで結局出陣しました。

まずは東京のポイントから。
クロウスタビの記録があるあたりの街灯をサクッと確認しますが、案の定、虫の集まりはさっぱり。

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ヒメヤママユ♀

なんとかヒメヤママユが確認できた程度......。
いまならまだ引き返せる...と思いつつも、強い意志を持って山梨へと進路を向けたのでした。

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東京から山梨へと続く道を走ること約1時間。
ぜんぜん街灯がない......。
この道を通るのは初めてだったのですが、わずかな街灯もLEDだったり弱々しかったり、とりあえず虫の影はぜんぜん見えません。
しかもどんどん寒くなる......。
日が変わり、道もどんどんよく分からない山道となってきてとてつもない後悔の念が湧き出してきたころ、久しぶりの街灯が出現。
しかも車窓からヒメヤママユが見えました。

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ヒメヤママユ♂

標高は1100 mほど。山梨産ヒメヤママユは初見なのでとりあえず来た甲斐ができたかな......。
辺りにもいないか探していると上空から落ちてきました。
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ヒメヤママユ♂

こちらはずいぶん飛び古した個体でした。
クロウスタビとか黒化ヒメとかいないかと思いここでしばらく探しましたが、追加の飛来はなさそうなので山奥へ進んでいきます。

ふたたび全く街灯のない道をひたすら上り続け、気づけば峠を登り切ってしまいました。
登り切ったあたりに公衆トイレがあったのでチェック。

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マメノメイガ

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エグリヅマエダシャク

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オオトビモンシャチホコ

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ヒメノコメエダシャク

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アカフヤガ

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ケンモンミドリキリガ

やままゆはいなかったものの、ようやく色々な虫が見られて灯火採集感が出てきました。
この時点で1時くらい。

その後、峠を下りながら埼玉へ向かう道を目指して街灯を巡り......。

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シロシタバ

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クスサン

たいした成果もあがらぬまま、2時間ほど虚無のドライブを体験しました。

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埼玉に戻ってきたのは3時半頃。
秩父のいつものポイントを見回ります。

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タイワンウスキノメイガ

初見のノメイガ。オオキノメイガを小さくした感じです。

ここでは他にヒメヤママユを多数観察出来てなんとか採集に来た意味を見出せたのでした。

しばし、今回、秩父で見られたヒメヤママユの一部をご覧ください。

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通常型。眼状紋のサイズや前翅基部の白帯の太さが微妙に違います。
3枚目は僕が勝手に「血糊型」と呼んでいるタイプです。

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秩父名物黒化型。
黒化型のなかにも色々変異があるので、通常型と照らし合わしながら見ると楽しいです。
昨年見たような「黒色タイプ」の黒化型をもう一度見たい......。

一晩中運転し続けたのでかなり疲れていたのですが、ついヒメヤママユ観察に夢中になってしまい、ポイントを後にしたのは空が白み始めてからとなったのでした。



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以上、悪条件にもかかわらず思い付きで3県を股にかけた愚かな採集ドライブでした。
このあと、かの凶悪な台風19号により、今回走ったエリアを含む馴染みのポイントがほとんど通行止めになってしまいました。
その影響もあってモチベーションが上がらずに2019年の採集はこれが最後になりました。

2020年からは引っ越すのでこのエリアはメインの採集地にならないと思いますが、また時間があるときに来たいと思います。


それではっ!