お久しぶりです。4か月以上ぶりの更新となります。
例年通り冬の間は飼育虫は寒い玄関に追いやって冬眠させ、Gasyun自身は暖かい部屋で絶賛ぬくぬくする怠惰な生活をして虫ネタもなく。
フッチーやイボタガなど早春の虫は採集に出かけてはいたものの、天候やタイミングに恵まれず空振り続きでした。

なんだかんだで今年最初の採集記は春の定番であるギフチョウ採集。
新規開拓したい気持ちもありつつ、結局ここ数年恒例となっている新潟県某所のいつもの場所へ、今年も春の女神に会いに行ってきました。



9:30過ぎにポイントに到着。
陽射しも良くて暖かく、風もさほど吹いておらず、ギフチョウ採集にはもってこいの気候です。
周辺のカタクリはきれいに咲いているものと花がしおれはじめているものが入り混じっており、時期は少し遅めな雰囲気です。

開けた斜面にレジャーシートを敷いて拠点を構築し、林縁を眺めて待っていると、木々の合間を縫ってふわふわ飛ぶ黄色い蝶が現れはじめました。
近づいては逃げられ、網を振っては逃げられ......を繰り返しながら、日の当たる茂みに降りて日向ぼっこをはじめた個体にようやく近づくことができました。

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ギフチョウ

撮影後、ネットインして手元へ引き寄せます。

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花を探しているというより、植物の葉から葉へ移っていくような飛び方をしていたのでなんとなく予想はついていたのですが、交尾嚢のついたメスでした。
擦れ欠けもあり、下草をペチペチして移動してきたことを伺わせます。

ネットインした個体を観察しているうちに、続けざまにもう1頭出現。このポイントはこれまで1日で2-3頭が去年までの成績だっただけに、とても幸先がいいです。

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こちらもかなり擦れています。お顔はかわいい。
交尾嚢がついていないのと、小ぶりなのでオスでしょうか。

その後、ギフチョウの飛来数はそれなりにあるものの、撮影もネットインもかなわず11時前後に一旦飛来が止んでしまいました。

しかし、11時半ごろから再び飛来が再開......。

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なぜか樹皮にとまったギフチョウ

十数分ぶりに現れた個体がなぜか樹皮上に止まったので近づいて撮影。きれいそうなので慎重にネットイン。

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翅の端に若干の欠けはありますが、全体的に擦れは少なく、小さな翅を彩る美しい模様が際立ちます。
ハッキリした赤色紋と控えめに散りばめられた空色の斑紋の組み合わせ、とても良いですよね~。
こちらも交尾嚢付きのメスでした。

その後も、断続的にギフチョウが舞う様子が観察できました。

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ほぼ完品に近い美しい個体も採集することができました。
しかし、擦れ欠けの多い個体がほとんどであり、ネットインできた個体はすべて交尾嚢を付けたメスだったので、発生後期だったと思われます。

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一方で、羽化したてと思われる不全個体も見つかりました。後翅がちぢれた状態で地面を歩いていました。
まだ翅がしっとりしていたので、網の中でぶら下がらせておけばもしかしたら翅が伸びきるかも......と思ったのですが、翅は伸びずそのままでした。

そして、今回、最も特徴的な変異を示していたのが以下の個体。
いわゆるCカット(後翅中室の黒紋に窪みができる)の変異になっているのに加え、赤上がり(後翅の赤色紋が黒帯に沿って発達する)気味の特徴も示していました。

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(表から/後翅赤色紋が赤上がり気味に発達)

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(裏から/Cカットの斑紋)

後翅が欠けているものの、ちょっとした変異個体を得られてとても嬉しい!
12時過ぎには採集に満足し、余裕の表情で採集切り上げ、周辺観光もして帰路につきました。



このポイントでは、ここ数年、1日に2-3頭見られるくらいにしか観察できていなかったのですが、今年は数多くの個体を観察でき、ちょっとした変異個体も観察できるなど非常に充実したギフチョウ採集となりました。


それではっ!