夏を感じる前に夏が過ぎ去り、季節はじわじわと秋の気配に。
8月はまともに採集に行けなかったので、そろそろどこかしら採集に行きたい!
というわけで、大学の後輩2人を巻き込み、秩父方面で街灯廻りしてきました。
特に狙いはないですが、ヤママユや各種カトカラは見られるでしょう。


秩父についたのは18時半頃。
休憩と夕飯をかねて道の駅で休憩して街灯巡りへ。

まずは一番のお気に入りポイントで様子見。
この場所は山に囲まれた湖にかかる橋で、欄干に蛍光灯がいくつかついていて集虫力が高いのです。
秩父には何度か採集に来ていますが、だいたいここが成績いいです。

さっそく見て回ると、虫の集まりはそこそこ。
気になる虫をカメラに収めていきます。

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   サザナミスズメ
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   セスジスズメ
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   トビイロトラガ
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   アヤトガリバ

このあたりはお馴染みの良い蛾たちといった感じ。

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   オニベニシタバ
こちらもそう珍しくはないようですが、今まで縁のなかったカトカラ。
基本的にやままゆ系狙いが多かったので、微妙に時期があわなかったのです。
日本の "ベニシタバ” 3種のうちオニベニだけ未採集だったので今回の目標の一つでした。

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   オニクワガタ♀
後輩達はオニクワガタの♀を発見。
オニクワガタを採りたがっていたので良い収穫。僕も♀は初めて見ました。


そこそこ楽しんだところでポイントを離れ周辺の他の灯りも回ってみましたが、結果はイマイチ。
めぼしい虫は黄色のヤママユ♀とアカアシクワガタくらい。
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   アカアシクワガタ
そこそこ大きいカッコイイ個体でした。ヤママユは撮り忘れました;

途中で寄った公衆トイレには壁にカジカガエルが張り付いていました。
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   カジカガエル
謎の逃亡者感があります笑

この後は、セミ好きの後輩の要望で標高をあげてチッチゼミを探すことに。
チッチゼミは体長2 cmほどしかない本州最小のセミで、灯火にはあまり来ず、昼は高い所にとまってしまうため採集困難とのこと。
その場所は標高1000 mを越えているので、ムラサキシタバやオオシロシタバといった珍カトカラも期待できそうです。

22時頃にポイントに到着して探索してみましたが、灯りには大して虫が来ておらず、チッチゼミやカトカラの類は見られませんでした。
その代わりいたるところにカメムシとオサムシが闊歩していました。
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   クロナガオサムシ
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   カメムシの仲間
カメムシが湧いていると秋を感じますね。。。

大して虫もいないので1時間ほどで撤収することに。
帰り際に街灯に大きいヤンマが飛んできたのでそれだけ観察し再び橋へ。
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   (たぶん)ルリボシヤンマ♀
斑紋が黄緑色の綺麗なヤンマでした。
♂はその名の通り斑紋が瑠璃色なんだとか。見てみたい!


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先のポイントから橋までは山道が続くので、橋に戻ってきたのは日が変わったころ。
遠目に虫の飛来がイマイチに感じますが、一応新しい顔ぶれを確認。
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   オオキノコムシ
大きくて目を惹く虫ですが、触るとくさいので注意が必要です。

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   ジョナスキシタバ
シャープな翅形のキシタバ。

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   フトスジモンヒトリ
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   ハグルマトモエ♂
翅の根元が吸い込まれそうな黒さです。オオトモエ以外のトモエガは地味に初めて。

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   モンスカシキノメイガ
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   タイワンモンキノメイガ

この後も周辺の灯火を回りましたが、どうにもイマイチ。
路上の気温計は一晩通して17~19 ℃ほどで気温が低すぎたわけではないと思いますが……。
やはり月の影響でしょうか(満月の3日後)、予報では曇りだったのに22時頃から雲が晴れてしまったのです。

結局、2時半くらいまで灯火を回ってめぼしい虫が得られなかったのであきらめて道の駅で就寝しました。
Zzz...


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朝5時頃起床。
後輩達はまだ寝ているようなので出発まで道の駅の街灯に残り蛾がいないか探してみます。
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   ヤママユガ♂
一本の街灯に2頭とまっていました。カラーバリエーションの多さが本種の魅力です。
今年はまだ出会えてなかったのでうれしい。手に乗っけて遊ぼうとしたら飛んで行ってしまいました。

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   シロシタバ
頭を下にするのがシロシタバ、上にするのがムラサキシタバだそうです。(前翅の模様でもわかりますが)
捕獲して後翅を確認したら確かに白でした。

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   カマキリモドキ
かっこかわいい虫。カマキリとカマキリモドキは見かけるたびにうれしくなる虫です。


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普段は秩父は街灯巡りオンリーで朝になったらすぐ帰るのですが、今回はまだ終わりません。
後輩の要望により、チッチゼミを採集すべく、秩父から離れ、埼玉西部のとある山に向かいます。
その山は標高300 mほどの低い山ですが、チッチゼミの産地としてセミ屋の間では有名なんだとか。

8時頃には山に着き、登山開始。ミンミンゼミとツクツクボウシしか聞こえないけど大丈夫か・・・?
しばらく進むうちに後輩が 「あっ鳴いてる」 とポツリ。
耳を澄ましてみると、たしかに「チッチッチッチッ…」という声が。
セミというより直翅っぽい鳴き声だなぁ、と思いつつ登っていき、ポイントに到着。
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良い眺め♪

後輩が網を広げて戦闘態勢に入ったので、チッチゼミ探しに力を貸すべく、こちらも耳を鳴き声に傾け狙うべき方向を定めます。
しかし、セミ採りはここからが大変。音の出所を絞っても、そこへ網を伸ばして狙いのセミを網に入れるという高等技術が要求されます。
クワガタやカミキリと違い、セミはバタバタ飛ぶのでつついて網に落とす方法は使えませんし、後輩曰く、チッチゼミは小さいうえに高い所の枝先の上の方にとまるので音の出所を見つけるのは至難の業。
いると思われる周辺の枝を叩いて飛び出したところをネットインする方法をとるようです。難しい。。。

しばらく後輩の採集風景を観察していましたが、網の届く範囲にいない上に鳴かなくなってしまったとのことで、再び鳴きだすまでとりあえず頂上まで登ることに。300 mしかないのですぐに登頂できます。

頂上でもチッチッチッチ…という鳴き声が聞こえるので、ここでもしばらく探します。
しかし、頂上は他の登山客が多いこともあってか、人の動ける範囲内では鳴いていないようです。

時間をおいて再びもとのポイントへ。
今度は近くで鳴いていそうということで後輩が懸命に網を構え探します。

それをぼーっと眺めつつ、なんとなくそばにあった木の幹に目を向けると、むむ!?
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ハチ・・・いや、これはだ!

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   コシアカスカシバ
スカシバガ!!!精巧なハチ擬態により身を守るとてもイイ蛾です。

カッッッコイイィィィィィィ!!!!!

幼虫はクヌギやコナラに穿孔して育つので、決して珍しいわけではないと思いますが、蛾のくせに昼行性・灯火に飛来しないという習性のため採集の機会がなかった憧れの蛾のひとつです。

まさかこんなところで出会えるとは……。

まだ羽化したてで飛べない様子だったので、じっくり写真撮影をしていると、後輩のいる方からガサッという音とともに「あぁー逃げられた!」の声。

そうだった、今は後輩のセミ採りに付き合ってるんだった(スカシバの興奮で一瞬で忘れた)

コシアカスカシバを観察しつつ後輩の採集音を聞いていると、今度は「入った!」の声。
さすがにチッチゼミを見たいので、コシアカスカシバが暴れないよう慎重に虫網に取り込んで後輩のもとへ。

その手につまんだセミを見せてもらいます。
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   チッチゼミ
指と比べてもらえればわかると思いますが、本当に小さい!かわいい。
後輩はかなりテンションあがってました笑

この時点で後輩はもう満足らしく、僕もスカシバガが採れて満足なので、もうすこしだけセミを探した後、下山し帰路に着きました。


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以上、初秋の虫探しでした。
街灯廻りはあまり成果は良くなかったですが、昼にコシアカスカシバとチッチゼミが見られてなんとなく丸く収まってしまいました笑

夏は終わってしまいましたが、やままゆ好きとしてはここからがシーズン本番!もっと採集に行かねば!



それでは!